市役所 京都 

「京都市役所」

大阪市民のわたしですが、

この場所の前を歩くときは

なぜだか背筋がピンと伸びます。

 

現存する政令市庁舎の中で最古の市役所だからでしょうか。

威風堂々とした佇まい、ほぼ左右対称の端正で美しい容姿、

静かな迫力と重みのある歴史を語るその姿を目前にすると

いつも襟を正す気持ちになるのです。

 

90年近く、現役の市役所として活躍している建物。

中央に時計塔を持つ鉄筋コンクリート造り4階建て。

京都の町の碁盤の目を連想するような

縦と横に整然と並ぶライン。

一番上の窓は、アール状にするというしゃれた意匠。

こちらは、東洋的モチーフなのだそう。

 


中央と両翼を突き出させて強調し、更に塔を持つなど、ヨーロッパの伝統様式(ネオ・バロック的骨格)の特色を有する。

また細部には東洋的な建築様式を採用している。

中国・インドまで含めた東洋的モチーフを用いている建物は少なく、その中にあって、本庁舎は建物の内外で一貫してこの手法を用いており、その意味では近代建築史上重要な位置を占めていると言える。

(京都市 市庁舎の沿革より一部抜粋)


 

どこを切り取っても、ため息がでるほど美しいですね。。

 

でっぱっているところは、バルコニーとのこと。

バルコニー下部に見られる石造りの舟肘木(ふなひじき)をモデルとした支えは中国的造形。

バルコニー部分にある正方形の凸凹はインド式造形なのだそうです。

 

あのバルコニーに立ったらジュリエットみたいだな。

なんてことをぼんやり考えながら、じっくりじっとり

コンクリートに穴があきそうなほど見つめながら通り過ぎようとしていたら

あ!窓があいてる!!

 

あまりにも静かで、夢かうつつかわからないような素敵な建物だけに、

無意識に、稼働しているところをイメージしていなくて、少々驚いてしまいました。

今も誰かがあの場所で行政のお仕事の一端を担って業務を遂行されているんだなぁ・・

 

窓は観音開きになっていて、押してあけるようになってるんだ。

この建物・あの窓でのその動作を想像するだけで、まるで映画のワンシーンかのような、

憧れに近い眩しさを感じてしまいます。

しばし、背筋をのばし首を持ち上げ

京都の皆様が往来する道の傍らに立ちすくんでしまいました。

 

「ずっと以前からそこにある建物」を見つめた十数分が

まるで素敵な大作映画を一本観たかのような、夢見心地の時間に。

そんな心地よい感覚を味わいながら、春の鴨川を歩いて帰路につきました。